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知的財産権の信託QandA

知的財産権の信託Q&A

知的財産権の信託Q&A
Q;信託とは?
A;信託とは、委託者が自己の財産を信頼しうる他人(受託者)に譲渡し、
自己の指定した者(受益者)の利益のために管理または処分させること
をいいます。
 
Q;知的財産権は、信託の対象となりますか?
A;平成16 年12 月の信託業法改正により、受託可能財産の範囲が拡大され、
知的財産権も信託の対象となりました。

Q;知的財産権の内の特許権を例に取った場合の信託の仕組みは?
A;例えば、特許権を有します特許権者(委託者)が、その特許権を受託者
例えば信託銀行に移転して、受託者(信託銀行)は、その特許権を活用
するためライセンス契約締結や実施料の収受管理等を行い、
その実施許諾により発生した実施料を特許権者(委託者)へ配当した
りします。

Q;信託は、契約のみによって設定されるのですか?
A;いいえ、信託は、契約の他、遺言によっても設定されます。

Q;上記のような信託により、特許権者(委託者)には、
どのようなメリットがあるのですか?
A;特許権者(委託者)には、次のようなメリットがあるようです。
(1)特許権を活用するためのライセンス契約締結や実施料の
収受管理等は、受託者(信託銀行)が行ってくれるので、
特許権者(委託者)としては、負担が軽減され、本業に専念できます。
(2)特許権の名義が受託者(信託銀行)に移り、個人などが特許権
を有しているよりも、侵害を事前に防ぐことが期待でき、又、
訂正審判の請求、審決取消訴訟の提起、損害賠償請求の裁判等を
受託者(信託銀行)が当事者(特許権者)として対応してもらえるので、
特許権者(委託者)は、各種侵害・訴訟等発生時の負担が軽減されます。

Q;信託には、上記のようなメリットがあるのにあまり普及しない理由は
何ですか?
A;知的財産権はその価値評価が難しいからとされています。
特許権があるとしても、それが経済的にどの位の価値があるのか、
又、技術的にどの位の価値があるのか、評価が難しいから
とされています。

Q;特許権を例にとって、信託(契約)によります特許権移転登録申請書
について、説明してください?
A;信託の対象となっています特許権の特許番号を記載します。
登録の目的として、例えば、信託契約による本特許権の移転と記載します。
登録免許税は、 登録免許税法第7条の規定により非課税と記載します。
申請人(登録権利者)として、受託者(信託銀行)の住所、名称 等を記載します。
申請人(登録義務者)として、特許権者(委託者)の住所、名称 等を記載します。
申請が、代理人による場合は、その住所、名称 等を記載します。
添付書面の目録として、信託契約証書、例えば信託契約書もしくは譲渡証書等
を添付します。
又、単独登録申請の場合の承諾書等の他必要書類

Q;信託では、当該特許権移転登録申請書のみを提出すればよいのですか?
A;いいえ、当該特許権移転登録申請書の他に、同時に特許権の
信託登録申請書の提出が必要です。これは、特許権等の信託を
第三者に対抗するためには、信託財産であることの公示と
権利の変動の公示を行う必要がありますので、上記の権利の移転の
登録申請の他に、信託の登録申請を行うことが必要とされています。
これは、二つの登録申請が同一の原因(信託行為)に基づく
ものであることから、同時に申請するものと
されています(特許登録令第60条他)。

Q;当該特許権の信託登録申請書にはどんな事項を記載するのですか?
A;信託の対象となっています特許権の特許番号を記載します。
登録の目的;信託の登録と記載します。
申請人;受託者のその住所、名称 等を記載します。
申請が、代理人による場合は、その住所、名称 等を記載します。
添付書面の目録として、信託契約証書、例えば、信託契約書もしくは
譲渡証書等を添付します。
又、単独登録申請の場合の承諾書等の他必要書類。
他に、特許登録令第58条第1項に規定する書面が必要です。

Q;当該特許登録令第58条第1項に規定する書面には
どんな事項を記載するのですか?
A;
1  委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所又は居所
2  信託の目的 例;本特許権の維持・管理及び処分並びに処分すること
3  信託財産の管理の方法
例;本特許権信託契約に基づき、受託者が第三者に対して利用の
許諾をなし、又は、許諾のない利用を行う者に対し
民事上、刑事上の法的措置を講じる
ことにより本特許権を管理する
4 信託契約期間 例;信託契約日より10年間
5  信託の終了の理由
例;
信託期間が満了したとき
信託の目的が達成されたとき
著作権信託契約が解除されたとき
六   その他の信託の条項


Q;著作権の信託とは?
A;著作権の信託とは、ある著作物の著作権者(委託者)が、
その著作権等を信頼できる人(受託者)に譲渡し、著作権のライセンスによる
資金調達など一定の目的に従って、受託者が受益者のために著作権等を
管理・処分するというものです。

Q;著作権の信託の登録申請を行うことで、どのような効果がありますか?
A;著作権の信託の登録申請を行うことで、次のような効果があると
されています。
(1)登録を受けた者が、信託を受けた著作権者として、法律上取り扱われる。
(2)信託の登録がされることで、著作権の信託が二重で行われた際に、
どちらの著作権信託契約が先に締結されていたのかにかかわらず、
既に信託の登録を受けている者が著作権者として取り扱われます。

Q;著作権の信託の登録申請には、どのような資料が必要ですか?
A;著作権の信託の登録申請に必要な資料等は、次のとおりです。
(1)著作権登録申請書(信託)
(2)著作物の明細書(前登録がある場合著作物の明細書は提出
しなくてもよいです。)
(3)登録の原因を証明する資料(信託契約書もしくは譲渡証書など)
(4)他必要書類(単独登録申請の場合の承諾書等)

Q;当該著作権登録申請書にはどんな事項を記載するのですか?
A;当該著作権登録申請書には、 次に掲げる事項を記載しなければ
ならないとされています。 
一   委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所又は居所
二   信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所又は居所
三   信託の目的 例;著作権を受益者のために管理・処分すること
四   信託財産の管理の方法
例;著作権信託契約に基づき、受託者が第三者に対して
利用の許諾をなし、
   又は、許諾のない利用を行う者に対し
民事上、刑事上の法的措置を講じることにより著作権を管理する
五   信託の終了の理由
例;
信託期間が満了したとき
信託の目的が達成されたとき
著作権信託契約が解除されたとき
六   その他の信託の条項
又、当該著作権登録申請書には、移転の事実関係を示す項目が必要で、
その「登録の目的」の項には、例えば、「信託による著作権譲渡の登録」
と記載し、
又、「権利の表示並びに登録の原因及びその発生年月日」の項には、
例えば、「平成  年  月 日に下記の者の間に信託による著作権の
譲渡があった。」旨記載する。
     委託者  住所
名前 
     受託者  住所
名前 
     受益者  住所
名前

Q;申請先は?
A;文化庁です。
プログラムの著作物についての著作権の信託の登録である場合の
提出先は、(財)ソフトウェア情報センタ-です。