ホーム  →  他の知的財産権分野のQ&A  →  輸入差止・情報提供・禁止手続QandA

輸入差止・情報提供・禁止手続QandA

輸入差止・情報提供・禁止手続Q&A

輸入差止・情報提供・禁止手続 Q&A


Q: 輸入差止・情報提供・禁止手続とは?
  A:海外からの知的財産権侵害品の我が国市場への流入がしばしば問題となっています。
例えば、海外では意匠権を取得しておりませんが、日本では意匠権を取得しています意匠と同一の製品が海外で製造され日本国内で流入されてきて、その輸入元を摘発しようとしても住所を転々と変えたりして困ることがあります。
その対策として、通関の時点(所謂「水際」)での摘発が有効です。
関税定率法第21条第1項第5号には、こうした知的財産権について、
特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作者隣接権又は回路配置利用権などを侵害する物品(侵害物品、貨物)を輸入禁製品と規定して、財務省及び税関が取締を行っています。
そこで、知的財産権を所有する権利者などが、侵害品の輸入の「差止申立」又は「差止情報」を、当該財務省及び税関に対して申立ることにより、通関時に侵害品を摘発し、侵害品の国内市場への流入を阻止することができます。

 Q:知的財産権について対象となるのは?
  A:特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作者隣接権、育成者権、回路配置利用権です。
尚、不競法第2条1項1号~3号までの不正競争行為による営業上の利益を侵害され又は侵害される虞がある者が行う差止請求権も含まれているようです。

 Q:これらは、皆同じ扱いですか?
  A:いいえ、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作者隣接権、育成者権、(不競法第2条1項1号~3号までの不正競争行為による営業上の利益を侵害され又は侵害される虞がある者が行う差止請求権)については、「輸入差止申立」を行うこととされています。
一方、回路配置利用権については、「輸入差止情報提供」を行うことができるとされています。

 Q:手続先は何処ですか?
  A:手続をしようとする者の住所(法人にあっては主たる事務所所在地)を管轄する税関(函館、東京、横浜等)です。

 Q:手続書類は?
  A: 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作者隣接権、育成者権、(不競法第2条1項1号~3号までの不正競争行為による営業上の利益を侵害され又は侵害される虞がある者が行う差止請求権)については、「輸入差止申立書」を、一方、回路配置利用権については、「輸入差止情報提供書」を提出します。

 Q:「輸入差止申立書」には、主にどのような事項を記入するのですか?
  A:権利の存続期間、登録番号、原権利者名、侵害すると認める物品(品名)、
並行輸入に関する参考事項、識別ポイント等です。輸入差止申立てが効力を有する期間として希望する期間を、2年を限度として、2年以内の期間を記載します。更新できます。

 Q:当該「輸入差止申立書」に添付する書類には、主にどのようなものがありますか?
  A:権利の登録原簿の謄本、侵害の事実を疎明するための資料、識別ポイントに係る資料、鑑定書等です。

 Q:「輸入差止情報提供書」には、主にどのような事項を記入するのですか?
  A:「輸入差止申立書」と同様の事項です。権利の存続期間、登録番号、原権利者名、侵害すると認める物品(品名)、識別ポイント等です。輸入差止情報提供が効力を有する期間として希望する期間を、2年を限度として、2年以内の期間を記載します。更新できます。

 Q:当該「輸入差止情報提供書」に添付する書類には、主にどのようなものがありますか?
  A:回路配置原簿の謄本、侵害の事実を疎明するための資料、識別ポイントに係る資料、鑑定書等です。

 Q:手続の流れはどうなりますか?
  A:一例ですが、通常、輸入差止申立→侵害の疑いのある貨物の発見→権利者・輸入者に通知→権利者・輸入者から証拠・意見の提出→侵害の認否を認定→侵害該当認定→没収

 Q:税関への差止申立・情報提供に手数料が掛かりますか?
  A:税関への差止申立・情報提供自体には、手数料は掛かりません。
代理代行手数料は、別紙の通りです。特許権や実用新案権の内容の技術的な把握等が必要ですし、
侵害品と申請品との識別をどのように行うか等が必要ですので、弁理士などの専門家に依頼された方が宜しいかと思われます。